書籍も、3冊置いています。越後瞽女日記、吉原炎上、斉藤真一の世界。どれも読み応え、見ごたえのある本です。特に、岡山文庫の斉藤真一の世界は、ポケットサイズなのに内容がとてもつまっていて、思わず自分用にネット注文してしまいました。本をできるだけ、増やさないように、図書館でかりたりしているのですが、ついつい出会ってしまいます。
本の中で、斉藤真一さんの弟さんが書かれた文章の中に、真一さんが、櫓(やぐら)が気になって調べたり描いたりされたことが記されていました。潮見櫓、火の見櫓。
真一さんは、櫓を調べて歩いていると、最上部にある半鐘が、だんだん下の方に取り付けられていることに気付いて、人間の横着さ、狡さについて思っておられたことが書かれていました。そしてその櫓の調査から、旅している時に、瞽女さんに出会い、大きなテーマに導かれていったようです。人生の中で、ちょっとした気づきや、ふれあい、出会いが大きな変化をもたらす不思議を書いておられました。
斉藤真一さんの絵は、お芝居を見ているような感じとつながります。
舞台で役者さんが、台本を読み込み、イメージをふくらませ、演技するように、斉藤さんは、詳細に取材し、膨らませ、心に入り込み、それを絵にうつして出していかれた。絵を描く前の、そういった時間、思いは見えない部分ですが、確実に何か違いが出てくるんだなぁとしみじみと思います。
瞽女(ごぜ)さんについても、もっと知りたいと思うようになりました。
遠く離れて 逢いたい時は 月が 鏡に なればよい
(越後瞽女歌 1982.9.15)